妄想はたのしい!!

三日坊主が脳内を赤裸々に描くだけのブログ

離島に泊まった話①

大学の友人に誘われて離島に行ってきた。港町まで電車で2時間、そこからボートで10分ほど。人口50人ほどでそのほとんどが後期高齢者という限界集落である。コロナのワクチン接種が本土で行われるのだが、自力で歩けない人や車椅子のおじいちゃんおばあちゃんは定期船に乗るのが大変なので、小型ボートで移動するという。その手伝いとして友人に声がかかり、一人だと何かと心配なのでということで声がかかったようだ。島の住民の世話をしている職員さんは40歳ほどで、元々公的機関から地域振興のために派遣されたが、観光地化計画が頓挫し、その後は自分の志でその島に住み続けているという。

 

モーターボートで海を渡るのは初めてだったので非常にわくわくした。5月といえど海風は涼しく、ともすれば寒い。ウインドブレーカーを持ってきてつくづくよかった。島は東西に1km、南北に300mほど。コンクリートで固められた船着き場にボートをとめ、上陸する。右手前に島唯一の神社があり、左手には木造の家が立ち並んでいる。坂が多いためか、家は概して小さく、かつて色とりどりに塗られていたであろう外壁のペンキが剥がれ落ちている。全盛期には1000人近くが暮らしたが今はその20分の1。ほとんどが空き家である。潮風の影響も相まって、畑に置かれた車輪の残骸や物干しなどは大抵さびている。なかなかに秘境である。

 

軽トラの荷台に人を車椅ごと乗せる練習を3人でする。順に車椅子に乗る役もするのだがこれがかなり怖い。頭を支えるものがないままに急なスロープを登るのである。おそらく高齢者は我々より体重が軽いから幾分運びやすいだろう。

 

束の間の自由時間。友人は以前1か月ほどこの島に滞在していたことがあるらしく、2人ほどのおばあちゃんの家に挨拶回りした。狭い島では新しい人が来たら一瞬で噂が広がるらしく、饅頭やみそ汁を頂いた。そのうえコンビニで買った酢豚弁当を食べるとおなか一杯になり、午後からの手伝いに支障がないか心配なくらいだった。聞いた話の内容も興味深かったのでいずれ書こうと思う。

 

そんなこんなで12時。軽トラの荷台に乗って車椅子の人の家を訪ねる。島の中でも奥の方にある家なので、車でなければ船着き場まで出られないのである。おばあちゃんの方が足が悪いようで、立っていることもできず、家では這って移動しているようだった。それでも少し歩きたいと言って竹の杖も持っていくことになったが、毎度決まって使わないらしく、おじいちゃんが呆れていた。先ほどの練習の通り荷台におばあちゃんを乗せ、私と友人で車椅子が揺れないように持つ。道幅がせまいため気を付けていないと枝が頬をかすめる。よく軽トラが脱輪しないものだ。おばあちゃんはおそらく認知症ぎみだが、とても陽気な人で、声をかけると歯を見せてよく笑ってくれる。私たちが来た経緯を説明すると、また来てね、と言ってくれた。島の外から嫁いできたそうで、こんな不便なところに住むもんじゃない、とこれまた笑っていた。